「夜の洗面所で、ナイアシンアミド※1の美容液とヒアルロン酸※2の化粧水を並べたまま、どちらを先に塗るか迷っている…」
前に成分を一度に増やして頬が赤くなり、原因が分からないまま全部やめてしまった経験があると、なおさら手が止まりますよね。
※1:ナイアシンアミドとは、ビタミンB群の一種(ニコチン酸アミド)で、化粧品や医薬部外品に配合される水溶性の成分です。
※2:ヒアルロン酸とは、水分を保持する性質を持つ保湿成分です。化粧品ではヒアルロン酸Naなどの名称で表示されます。
ナイアシンアミドとヒアルロン酸は、保湿に関わる点では共通していても働きかけ方が異なる成分で、併用できると考えられています。 ただし「組み合わせると効果が高まる」と直接示した報告は見当たらず、順番や選び方、始め方で使い心地は変わります。この記事では、併用の可否と塗る順番、一体型と別々使いの違い、肌タイプ別の始め方、刺激が出たときの対処までを、2件の文献(参考文献1・2)をもとに整理します。
ナイアシンアミドとヒアルロン酸は併用できる?結論と2つの成分の働き
ナイアシンアミドの働き|皮脂と角層の状態に関わる
ナイアシンアミドについては、2%配合の製品が顔の皮脂量に与える影響を調べた試験が報告されています(参考文献1)。日本人100名を対象とした試験では、2週間後と4週間後に、有効成分を含まない保湿剤を使った群と比べて、2%ナイアシンアミド群で皮脂排出量が低い結果でした。一方、米国の白人30名の試験では、6週間後に肌表面の皮脂量は下がったものの、皮脂排出量には統計的な差は確認されませんでした(同じ参考文献1に両方の試験が含まれます)。対象や評価方法で結果が異なるため、すべての人に同じ変化があるとは言えません。ナイアシンアミドは角層※3のバリア機能※4に関わると考えられている成分でもあり、医薬部外品※5では有効成分として配合される製品もあります。
※3:角層とは、肌の最も外側にある層で、水分の保持や外部刺激からの保護を担います。
※4:バリア機能とは、角層が水分の蒸発を防ぎ、外部からの刺激物質の侵入を抑える働きのことです。
※5:医薬部外品とは、厚生労働省が承認した有効成分を一定量配合し、特定の効能を表示できる製品区分です。
ヒアルロン酸の働き|角層の水分に関わる
ヒアルロン酸は、水分を保持する性質を生かした保湿成分です。分子の大きさが異なる0.1%ヒアルロン酸配合クリームを、女性76名が目元に60日間使った試験では、どの大きさのヒアルロン酸を配合したクリームも、ヒアルロン酸を入れていないクリームと比べて水分量と弾力の評価が高い結果でした(参考文献2)。この試験は目元のクリームを対象とした小規模なもので、化粧水や美容液にそのまま当てはまるとは限りません。
2成分の併用を直接調べた報告は限られる
上の2件は、それぞれ単独の成分を調べた報告です。併用の相性は、成分同士の関係だけでなく、製品全体の処方や濃度、肌状態にも左右されます。他の成分との組み合わせが気になる方は、ナイアシンアミドに併用不可な成分はある?組み合わせの真相と注意点も参考にしてください。
塗る順番と3つのルール
【結論】順番は、水分が多くサラッとしたテクスチャーのものから先に塗るのが一般的です。製品に使用順の指定があれば、そちらを優先してください。
ルール1|サラッとしたものから先に塗る
一般的なスキンケアの手順では、水分が多い製品から油分の多い製品へと重ねます。ヒアルロン酸が化粧水やジェルで、ナイアシンアミドがとろみのある美容液なら、ヒアルロン酸を先にする流れになります。ナイアシンアミドが化粧水タイプなら、そちらが先になります。
ルール2|1分前後を目安になじませる
先に塗った製品が表面に残ったまま次を重ねると、よれたり重くなったりすることがあります。1分前後を目安に、手のひらで軽く押さえてなじませてから次を使うと扱いやすくなります。この時間は研究で定められた数字ではなく、使用感を整えるための一般的な目安です。
ルール3|一度に重ねず、朝夜で分ける選択肢もある
2品を同時に重ねるのが不安なら、朝はヒアルロン酸、夜はナイアシンアミドというように、使う時間帯を分けても構いません。分けることで、肌の反応を製品ごとに観察しやすくなります。
一体型か別々か|選ぶときの3つの見方
見方1|全成分表示で両方入っているかを確認する
全成分表示では、ナイアシンアミドは「ナイアシンアミド」、ヒアルロン酸は「ヒアルロン酸Na」「加水分解ヒアルロン酸」などの名称で書かれます。1本に両方入っている製品もあるため、別々の製品を重ねる前に、成分の重複がないか確認しましょう。
見方2|一体型は手間が少なく、別々は原因を切り分けやすい
一体型は工程が増えず、続けやすい点が利点です。別々の製品は、赤みが出たときにどちらが原因か確認しやすい点が利点です。初めて試すなら別々、慣れたら一体型、という順も考えられます。
見方3|濃度と区分は製品ごとに確認する
ナイアシンアミドは配合濃度の幅が広く、高濃度の製品では使い始めに赤みやピリつきを感じる人もいます。ヒアルロン酸は濃度が非公開の製品が多く、数字だけで優劣は判断できません。また、医薬部外品は、承認された有効成分に応じた効能を表示できる区分です。ナイアシンアミドが有効成分の製品もありますが、表示は製品ごとに異なるため、パッケージで確認してください。
肌タイプ別|併用の始め方3パターン
【結論】肌の状態によって、始める順番と頻度を変えると、刺激への対処がしやすくなります。いずれの場合も、顔全体に使う前にパッチテスト※6をしてください。
※6:パッチテストとは、製品を少量だけ腕の内側などの目立たない部位に塗り、24〜48時間ほど経過を見て、赤みやかゆみが出ないか確認する方法です。
乾燥しやすい・敏感に傾きやすい肌
先にヒアルロン酸など使い慣れた保湿から整え、安定してからナイアシンアミドを低濃度で足す流れが考えられます。ナイアシンアミドは使い始めに赤みやピリつきを感じる人もいるため、最初は使う日を少なくし、反応を見ながら増やすと無理がありません。
皮脂が気になる肌
皮脂が気になる場合は、ナイアシンアミドを低濃度から使い、ヒアルロン酸はジェルや化粧水などサラッとしたタイプを選ぶ選択肢があります。重いクリームで重ねすぎると、使用感が重くなることがあります。
季節の変わり目で肌が不安定な時期
新しい成分を2つ同時に増やさず、いつもの製品を維持したまま1つずつ足します。
ビタミンC・レチノールも使うときの2つの考え方
考え方1|すでに安定している組み合わせに、1つだけ足す
ナイアシンアミドとヒアルロン酸を問題なく使えていても、そこへビタミンCとレチノールを同時に足すと、刺激が出たときに原因を切り分けられません。足すのは1回に1成分までにします。
考え方2|朝夜で役割を分ける選択肢
朝と夜で使う成分を分ける方法もあります。製品の使用方法表示に朝夜の指定があれば従ってください。
併用をやめるべきサインと皮膚科受診の目安
【結論】赤み・腫れ・強いかゆみが続く場合は、使用を中止して皮膚科に相談してください。
以下に当てはまる場合は、ナイアシンアミドとヒアルロン酸の使用を中止してください。
- 塗った直後から強いピリピリ感や熱感が続く
- 赤みや腫れが出て、使用を中止して3日以上経っても引かない
- 強いかゆみ、水ぶくれ、じゅくじゅくした体液が出ている
- 化粧水すら強くしみて塗れない
これらは化粧品が肌に合っていない可能性を示します。製品のパッケージや全成分表示を持参して、皮膚科を受診してください。
ナイアシンアミドとヒアルロン酸の併用に関するよくある質問(FAQ)
【結論】併用の可否、塗る順番、敏感肌での始め方など、よくある疑問を5つにまとめました。
Q1. ナイアシンアミドとヒアルロン酸は一緒に使えますか?
A. 肌に合うことを確認できれば、同じ日に使う選択肢があります。(詳細)
併用を直接検証した報告は限られるため、初めての場合はそれぞれを単独で腕の内側などで試し、問題がなければ1つずつ導入してください。
Q2. ナイアシンアミドとヒアルロン酸は、どちらを先に塗ればいいですか?
A. 水分が多くサラッとした製品から先に塗るのが一般的です。(詳細)
Q3. ナイアシンアミドとビタミンCは、同時に使っても大丈夫ですか?
Q4. ナイアシンアミドを使うと乾燥しやすくなりますか?
A. 乾燥を感じる人もいます。(詳細)
濃度が高い製品や使い始めの時期に、つっぱり感やピリつきを感じることがあるため、低濃度から始め、保湿を重ねて様子を見てください。強い違和感が続く場合は使用を中止します。
Q5. 敏感肌でも併用できますか?パッチテストは必要ですか?
A. 敏感肌の場合は、1つずつ導入し、必ずパッチテストを行ってください。(詳細)
パッチテストで問題がなくても、使用中に赤みやかゆみが出たら中止し、続く場合は皮膚科に相談します。
まとめ|ナイアシンアミドとヒアルロン酸を無理なく取り入れるために
【結論】併用は可能と考えられますが、順番と始め方で使い心地が変わるため、1つずつ導入して確認することが大切です。
- 併用は可能と考えられる:働きかけ方が異なる成分ですが、併用そのものを直接検証した報告は限られます。
- 順番はテクスチャー優先:水分が多くサラッとしたものから先に、1分前後なじませて重ねます。
- 一体型か別々かは目的で選ぶ:続けやすさなら一体型、原因の切り分けやすさなら別々です。
- 同時に増やさない:ビタミンCやレチノールを足すときも、1つずつ導入します。
- サインを見逃さない:強い赤みやかゆみが続く場合は、皮膚科に相談してください。
スキンケアの変化は一朝一夕で現れるものではありません。肌の反応を見ながら、無理のないペースで続けることが大切です。
※本記事は一般的なスキンケア情報を目的としており、特定の効果効能を保証するものではありません。肌状態に不安がある場合は、皮膚科専門医へご相談ください。